ソフトウェア開発の会計実務Q&A
Z 月次決算資料と予算との対比
Q39−2. 個人別作業時間の稼働率管理の方法を教えてください。
当社ではPJ損益把握の為にPJ別個別原価計算を行っております。人件費が中心ですので、PJ別の作業時間管理は実施しています。ただ、各人が作業しているのは理解できるのですが、それが本当に必要な仕事かどうか不明です。社員個人の管理はどのようにしたらよいでしょうか?
A39−2.
解説:人件費中心の業務では会社の利益は社員の業績次第となります。どこの会社でも会社全体の利益と社員個人利益は相反する面もありますが、個人の利益を伸ばすことにより会社の利益が伸びる面も強くありますので、PJ損益の拡大が個人の利益の拡大にする必要があります。個人の評価は人事関係の専門家が行いますが、PJ管理からは、絶対ではありませんが社員を以下のようにコントロールすべきものと考えます。
@ PJ損益の責任者であるマネジャークラスと作業を実施するスタッフクラスに区分されるべきです。
A マネジャークラスはQ3-1での検討のとおり、PJ損益での利益貢献割合での管理が妥当かと思われます。
B スタッフクラスは稼働率です。直接PJでの稼動は直接利益に貢献します。間接PJでは、自己研修や会議等の時間は利益に貢献はしますが、間接的長期的にしか過ぎません。間接作業時間を否定する訳ではありませんが、よく仕事ができる人は、仕事ができない人が長時間かけて直接PJに貢献するよりも、短期的に仕事を完成させるので、単価は高くとも原価は安くなるということで、マネジャークラスからの引き合いも多く直接PJへの稼働率が高くなります。言い換えれば性能の良い機械は原価を低減することができる。その考え方を踏襲することができます。
そこで管理資料として必要なのが個人別の稼働率表です(参考:作業時間評価表稼働率表)。直接PJの稼動割合、予定との比較にて、スタッフの作業度合いが数値化されます。
なお、直接PJの記載はPJ責任者の牽制が働きますので、直接PJへの過大記載は減少し、作業時間報告の精度も向上します。